その他の治療

顎変形症について

一般に、上アゴ(上顎骨)あるいは下アゴ(下顎骨)が前に伸び過ぎていたり、逆に顎が小さいなどで上下の歯の噛み合わせが大きくずれてしまっていたり、あるいは顔が非対称で歪んでいるような場合は「顎変形症」と総称される病気である可能性があります。(日本顎変形症学会HPより)

日本顎変形症学:顎変形症に関する基礎知識

このような症状の場合には、矯正治療と手術が必要な場合があります。
クシモト矯正歯科2002年以来、音羽病院京都顎変形症センター長横江義彦先生と連携して治療を行ってきました。安心して治療をお受けください。

連携病院:音羽病院京都顎変形症センター

顎変形症のセルフチェック

顎変形症といっても様々な症状があります。下記にあてはまる異常があるかどうかご自 身でチェックしてみましょう。

  • 下アゴが前に出ている・大きい(下顎前突症)
  • 下アゴが後ろに下がっている・小さい(下顎後退症・小下顎症)
  • 上アゴが後ろに下がっている・小さい(上顎後退症)
  • 前歯がかみ合わない(開咬症)
  • 下アゴが左右にずれている(下顎非対称症)
  • 前歯が著しく突出している(歯槽前突症)

顎変形症の治療には

上記のような状態がありますと、うまく噛めない・言葉がわかりづらい、などいろいろな障害がでてきます。また「受け口」などといわれて容貌に一人悩むことも少なくありません。他にも前歯がでている・アゴが横にずれている(非対称)、などによって様々な機能的問題も起こってきます。

小さい子供のうちは歯の矯正で対処できる可能性もありますが、成人してからは時間的・社会的な制約だけでなく医学的な理由からもなかなか治療することは難しくなってきます。

現在では、このような方々に対して多くの場合、矯正治療に顎矯正手術を組み合わせる「外科的矯正治療」により、治療することが可能になっています。

外科的矯正治療の流れ – 治療内容

  1. Step1.初診(相談)

    患者様のお口の写真・側面・正面の顔の写真を撮影します。そして患者様と同じような過去の治療例を選び外科的矯正治療の概要を説明させて頂きます。

  2. Step2.顎口腔機能検査

    通常の矯正治療検査(歯型・かみ合わせの型・レントゲン写真)に加え下顎運動・咀嚼筋筋電図の検査を行います。

  3. Step3.顎口腔機能診断

    予測模型やレントゲン写真により治療方針、装置、費用等を説明します。ご理解頂いた後検査資料をお渡します。検査資料を持参して音羽病院 京都顎変形症センター 横江義彦先生を受診して頂き外科的な説明を受けて頂きます。顎矯正手術にもご理解いただければ術前矯正治療へと移っていきます。

  4. Step4.術前矯正治療(1-2年)

    マルチブラケット装置により歯を動かします。

  5. Step5.顎矯正手術

    顎の骨を動かします。

  6. Step6.術後矯正治療(6-12か月)

    歯列の細部調整と手術後のリハビリテーション。

  7. Step7.保定

    動かした歯を維持・安定させる治療です。
    マルチブラケット装置を撤去し、保定装置を装着します。

手術方法には

手術方法は、基本的に歯と顎(アゴ)の調和を整える手術です。上アゴ(上顎骨)に対する手術と下アゴ(下顎骨)に対する手術方法があります。

上顎骨を動かす手術

上顎骨を前方・後方・上下・左右に、また幅の拡大・縮小を行う手術があります。

下顎骨を動かす手術

下顎骨を前方・後方・左右に、また顎の先のオトガイを出したり小さくしたりする手術があります。

(下顎枝矢状分割法・下顎枝垂直骨切り術・Le Fort I型骨切り術・前歯部歯槽骨骨切り術・外科的口蓋拡大術・オトガイ形成術等)

上下顎骨の移動例

上顎後退症・下顎前突症

上顎後退症・下顎前突症A・B・C・D・E・F

「下アゴが出ていることや上アゴが引っ込んだ感じがする、前歯で咬めない」とのことで治療を希望されました。「反対咬合を伴う顎変形症」と診断され、矯正治療のみでは安定した噛み合わせが得られないため外科手術を併用することになりました。術前矯正治療の後に、上アゴは前、下アゴは後方へ移動しました。上アゴの位置に問題がなければ下アゴのみで行う場合があります。入院期間は約1週間でした。そして歯列の細部調整と手術後のリハビリテーションを行いました。

開咬症

開咬症G・H・I・J

「前歯で麺類をかみ切ることができない、正しい発音ができない」とのことで治療を希望されました。このようなかみ合わせでは、後ろの方の歯(臼歯)への負担が大きいです。開咬の程度が大きい場合には、上アゴの後方を上に移動すると共に下アゴを上アゴにあわせて移動します。開咬の程度が小さいと下アゴのみで行う場合があります。入院期間は約1週間でした。そして歯列の細部調整と手術後のリハビリテーションを行いました。

上顎前突症 下顎後退症

上顎前突症 下顎後退症K・L・M・N・O・P

「アゴがない、出っ歯観がある、うまく物を咬めない」とのことで治療を希望されました。このように下アゴが小さい方にはイビキをする方が多いと言われています。「上顎前突症と下顎後退症を伴う顎変形症」と診断され、術前矯正治療の後に上アゴの反時計方向の回転と下アゴの反時計方向の回転と前上方移動、加えてオトガイ形成術も行いました。入院期間は約1週間でした。そして歯列の細部調整と手術後のリハビリテーションを行いました。よく咬める、綺麗な発音ができることや息がしやすくなってイビキもしなくなったそうです。

上下顎非対称症

上下顎非対称症Q・R・S・T・U・V

「物が咬みにくい、顔が歪んでいる」を気にされて治療を希望されました。このような症状の場合、原因が下アゴが偏位しているだけじゃなく上アゴの垂直的な位置以上に問題がある場合もあります。上下歯列の排列後、上アゴを反時計方向(正面から見て)に回転させ下アゴをその位置に移動し対称性が得られるようにしました。左右の奥歯で均等に物がよく咬めるようになりました。入院期間は約1週間でした。歯列の細部調整と手術後のリハビリテーションを行いました。

(模式図は音羽病院横江先生の
「顎矯正手術を受けられる方へ」より引用)

外科的矯正治療 -ベネフィットとリスク-

上下顎骨の不調和が大きい顎変形症を矯正治療単独で治療した場合、顎骨の不調和を歯の傾斜によって代償的に治すため、歯周組織*の負担が大きく安定した噛み合わせを得ることが難しいと言われています。

外科的矯正治療のベネフィットは、不正咬合の主要な原因である顎の位置を骨切り手術により改善することで、歯や歯周組織に負担をかけることなく安定した噛み合わせ・機能および調和のとれた顔貌を得られるところにあります。

一方、リスクは骨切り手術により一時的な知覚異常が生じる可能性があること、入院を伴うため社会活動の制約を受けることなどがあります。

*歯周組織:歯を支える周囲組織の総称で、軟組織の歯肉、歯根膜と硬組織のセメント質、歯槽骨の4つの組織を指します。

治療費について

顎変形症の矯正治療は健康保険でできます

顎変形症は、更生医療の指定を受けた医療機関で「顎変形症」に診断されますと、矯正治療が健康保険に適応されます。

顎変形症に保険を適応するためには、施設基準というのがあります。顎運動測定器・筋電計等の器材の設置が義務づけられています。当院は上記のすべてを満たした顎口腔機能診断施設の認定を受けておりますので、ご安心して受診して下さい。

顎変形症の外科手術は高額医療費でできます

高額療養費とは

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴 月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」があります。

厚労省 HPより:高額療養費制度を利用される皆さまへ

高額医療費の上限額は、年齢や所得によって異なります
69歳以下の方の上限額(平成30年8月以降)

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)

年収 約1160万円〜

健保:標準報酬 83万円以上

国保:旧ただし書き所得 901万円超

252,600+(医療費-842,000)×1%

年収 約770〜約1160万円

健保:標準報酬 53〜79万円

国保:旧ただし書き所得 600万〜901万円

167,400+(医療費-558,000)×1%

年収 約370〜約770万円

健保:標準報酬 28〜50万円

国保:旧ただし書き所得 210万〜600万円

80,100+(医療費-267,000)×1%

〜年収 約370万円

健保:標準報酬 26万円以下

国保:旧ただし書き所得 210万円以下

57,600円
住民税非課税者 35,400円

過去10年間の顎変形症に関わる学術活動

  • 2010年9月27日 第69回日本矯正歯科学会学術大会(2010-09-27~29、横浜)

    非機能性下垂体腺腫を伴った骨格性下顎前突症の外科的矯正治療

  • 2012年6月18日 第22回顎変形症学会学術大会(2012-06-18~19,福岡)

    術前矯正に先立ち上顎洞内骨移植により傾斜歯の歯軸改善を試みた2例(共同演者)

  • 2012年9月26日 第71回日本矯正歯科学会学術大会(2012-09-26~28,盛岡)

    外科的矯正治療を行ったPierre Robin 症候群の一症例

  • 2015年6月4日 第25回顎変形症学会学術大会(2015-06-4~5,東京)

    顔面外傷後変形治癒に対して顎矯正手術を応用した2例(共同演者)

  • 2017年第62回 日本口腔外科学会学術大会(2017-10-21,京都)

    LeFortI型骨切り術と同時にDown fracture techniqueによる上顎洞底挙上術を行った2例(共同演者)

  • 2018年10月30日 第77回日本矯正歯科学会学術大会(2018-10-30~11-1,横浜)

    上顎臼歯部欠損を伴った骨格性開咬に対し外科的矯正治療とインプラント補綴治療を行った一例

顎変形症以外の保険対象

その他「厚生労働大臣が定める疾患」も保険対象になります

下記の疾患に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療、前歯3歯以上の永久歯萌出不全 に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)に限り保険診療の対象となります。

  1. 唇顎口蓋裂
  2. ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
  3. 鎖骨頭蓋骨異形成
  4. トリーチャ・コリンズ症候群
  5. ピエール・ロバン症候群
  6. ダウン症候群
  7. ラッセル・シルバー症候群
  8. ターナー症候群
  9. ベックウィズ・ウイーデマン症候群
  10. 顔面半側萎縮症
  11. 先天性ミオパチー
  12. 筋ジストロフィー
  13. 脊髄性筋委縮症
  14. 顔面半側肥大症
  15. エリス・ヴァンクレベルド症候群
  16. 軟骨形成不全症
  17. 外胚葉異形成症
  18. 神経線維腫症
  19. 基底細胞母斑症候群
  20. ヌーナン症候群
  21. マルファン症候群
  22. プラダー・ウィリー症候群
  23. 顔面裂
  24. 大理石骨病
  25. 色素失調症
  26. 口腔・顔面・指趾症候群
  27. メビウス症候群
  28. 歌舞伎症候群
  29. クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  30. ウイリアムズ症候群
  31. ビンダー症候群
  32. スティックラー症候群
  33. 小舌症
  34. 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む。)
  35. 骨形成不全症
  36. フリーマン・シェルドン症候群
  37. ルビンスタイン・ティビ症候群
  38. 染色体欠失症候群
  39. ラーセン症候群
  40. 濃化異骨症
  41. 6歯以上の先天性部分(性)無歯症
  42. CHARGE症候群
  43. マーシャル症候群
  44. 成長ホルモン分泌不全性低身長症
  45. ポリエックス症候群
  46. リング 18 症候群
  47. リンパ管腫
  48. 全前脳胞症
  49. クラインフェルター症候群
  50. 偽性低アルドステロン症
  51. ソトス症候群
  52. グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
  53. その他顎・口腔の先天異常

顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患であり、当該疾患に起因する咬合異常について
、 歯科矯正の必要性が認められる場合に、その都度当局に内議の上、歯科矯正の対象とする ことができる。

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